SMで使われる鞭(ムチ)は全て同じ。皆さん、そんなふうに思っていませんか。実はSMの鞭にはたくさんの種類があり、それぞれ性能が異なるため、用途に合わせて使い分けます。
筆者はSMクラブで現役女王様・S嬢として働いています。私も6本の鞭を持ち歩き、プレイによって使い分けています。今回は私の実体験を踏まえながら、SMの鞭について詳しく解説していきます。
他には載っていない、かなりマニアックなSM鞭の情報を詳しくご紹介しますので、是非チェックしてみてください。
SMで鞭を選ぶ大切さ
どんなことでも限らず、道具選びというのはとても重要なことです。それは鞭においても言えることです。
鞭の種類が違うだけで、受け手側の鞭への印象も変わります。私は元々M女だったのですが、良い鞭に出会えず鞭は嫌いでした。その時の私の印象は「鞭はただ痛いのを我慢するだけ」といったものでした。ですが、自分にあった鞭を見つけてからは、その印象がガラリと変わり、鞭での快感を知りました。
今ではかなりハードな鞭も受けられるようになり、微妙な痛みの違いも明確に肌で感じ取れます。それがS嬢としてプレイする上でも非常に役立っています。
痛みにもたくさん種類があります
Mの方に対して「痛ければ何でもいいんでしょう」と思っていたら、それは大きな間違いです。
痛みには数えきれないほど種類があります。ここでは鞭についてのみ説明しますが、その人が求める痛みをこちらが見極め適した道具で正しい扱い方をしなければ、良いプレイはできません。
鞭の痛みに関しては主に2つに分けられます。
重たい痛み
身体の奥まで響くような重たい痛みです。骨に響くと表現するMの方もいます。
痛み系のプレイ、ハードなことが嗜好の人たちに好まれます。重たい痛みを与えるためにはただ強く打てばいいというわけではなく、鞭の性能に左右されます。そのための鞭を使う必要があります。
切れる痛み
身体へ当たった感覚は軽いですが、紙で切ったような痛みです。表面の皮膚が抉られてしまうこともあり跡が長く残りやすいです。 人をかなり選ぶような痛みです 。
実物に鞭に触れる
ここまで鞭について解説してきましたが、「結局どんな鞭がいいの?」と思われている方もいることでしょう。そこでおすすめしたいのが実物に触れることです。
持った感触、重さ、質感、打たれ心地など、実物に触れることで得られる情報はたくさんあります。鞭はきちんとしたものであれば数万円はします。 一度買えば長く使っていくものなので、自分にあったものを選ぶべきです。
実際に振ってみる
鞭を手に持って振ってみてください。持ち方はあまり力を入れず軽く握り、振り方は鞭の重さを感じながらそれに逆らわずにゆっくりと下に落とすと良いです。手の力を使わなくても、鞭自体の重みで先端が下がります。
この時、自分の手にフィットしているかを確認してください。鞭が好きな方を相手にする際には長時間振らなければならないこともあります。そうした場合にフィットしない鞭を使っていると、手が疲れてきて、酷いケースとしては腱鞘炎になります。 情報や知識を頭に入れておくことも大事ですが、自分の直感で鞭との相性を探ってみましょう。
実際に受けてみる
この記事を読んでいる方のほとんどはS側の人だと思います。だからこそ、自分が相手に使おうと思っている鞭は受けてもらいたいです。
どれくらい痛いのか、どのくらい跡が残るのか、自分の身体で体感してみてください。お客様に鞭の性能について聞かれることはよくあるので、答えられるようにするべきです。
そして何より自分が相手にどの程度の責めを与えているのかを、きちんと理解してほしいです。SMは一歩間違えば危険な行為です。鞭も打ち方や打つ部位によっては大きな後遺症を残してしまいます。しっかりとリスク管理をした上で、鞭を振ってください。
SMでの鞭の種類
鞭にはたくさんの種類があると書きましたが、ここではより詳細に解説していきます。
形状による違い
形状に関しては主に2つに分けられます。
バラ鞭
バラ鞭とは、鞭の先端がヒダ状になっており、数本に分かれているものです。一般的な鞭のイメージはバラ鞭のほうだと思います。 音は大きいですが、次に解説する一本鞭よりは痛みが少ないものが多いです。
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一本鞭
一本鞭とは、まっすぐに編み込まれている部分が長く、先端がバラ鞭のように分かれていないものです。
一番先の形は鞭の作り手によって異なり、ベラになっていたり、二枚の革を縫い合わせてあったり、房状になっていたりします。 バラ鞭に比べると痛みが強いものが多いです。鞭の全長に決まりはありませんが、90センチから120センチがよく出回っています。室内で振るならば、90センチが周りの家具などを巻き込まないのでおすすめです。
材質による違い
鞭において材質の違いはとても大切です。肌へ当たる感触も跡の残りやすさも顕著に変わります。
革の鞭
本革と合成革に分けられます。値段は本革のほうが高いですが、質は良いです。
肌への当たりは柔らかく、痣になったとしても跡がずっと残るということは少ないです。
同じタイプの鞭を買ったとしても色によって革の質感が違うこともあるので注意が必要です。
ナイロンの鞭
革と対になるのがナイロン製です。ナイロン鞭の肌の当たりは上記で説明した「切れる痛み」に該当します。
皮膚の表面に傷がつくので跡も長く残りやすいです。
その他の鞭
バラ鞭と一本鞭以外では乗馬鞭もあります。乗馬鞭は馬用に作られたもので、値段も性能も様々です。人体用ではないので、使う際には吟味してください。
鞭の定義に決まりはなく、棒で叩くような打具も鞭に含まれることがあります。ラバーや竹を使って作ったものや変わったパドルが鞭と名前が付いていることもあります。
お気に入りのSM鞭と出会うために
自分にぴたりと合う鞭に出会うのは、なかなか難しいものです。ですが、ポイントを押さえれば大丈夫です!
この項では、鞭をどこでどうやって見つければいいのかなど、鞭購入に役立つ情報を説明します。
鞭職人から購入する
アダルトグッズの通販サイトからでも購入できますが、おすすめは鞭職人からの購入です。
SM用の鞭を専門に作っていますので、肌へのあたり、使いやすさなどが計算されています。鞭職人の方も勿論SMプレイヤーなので、どれを買えば良いか迷った時に相談できることも大きなメリットです。
鞭職人とは
鞭職人は、人体を打つ用の鞭を専門に作っています。鞭製作以外に首輪などその他の革製品を作って販売している方もいます。 鞭職人が本業の人もいれば、趣味としてやっている人もいて様々ですが、鞭に対するこだわりは皆さん同じです。それぞれの職人さんが個性豊かな鞭を販売しています。
鞭職人の探し方
インターネットで検索しても出てくるとは思いますが、一番効率の良い探し方はTwitterをチェックすることです。大抵の鞭職人はTwitterを利用していて、自分が作った鞭の写真を載せています。
購入者のツイートをリツイートしていることもあり、その人のツイートを読めば使用感などの情報もゲットできます。
ツイッターの検索で「鞭」や「鞭職人」のワードで検索していけばたどり着けるはずです。 また、SM愛好者はTwitter上で繋がっています。ひとり見つければ、フォローやフォロワーから別の鞭職人を見つけることも可能です。そうやって情報収集してみてください。
鞭のイベントに参加してみる
鞭の愛好家や鞭職人などが多くのイベントを主催しています。そこに足を運ぶのもひとつの方法です。
鞭愛好家のオフ会では同じ仲間から知識を得られますし、鞭職人主催のイベントは展示会・販売会になっていることもあります。 やはり、実物を見て触るのが一番! お気に入りの一本を探しましょう。
特注でオーダーする
Twitterでもイベントでも自分にあった鞭が見つからなかったという時には、鞭職人にオーダーしましょう。私が持っている鞭のほとんどは特注です。
職人さんによっては特注を受けてくれない方もいますが、熱意を持って相談すればほとんどの方は引き受けてくれます。
長さを変える、重さを変えるなど、柔軟に対応してくれます。そうした上で重心の取れたバランスの良い鞭を作ってくれます。
私も色々な方にお願いしましたが、いずれも快く引き受けてくださり、満足のいく鞭ができました。ある程度知識がないと難しいですが、自分の思い通りのプレイをするためには最もいい方法です。
SMでの鞭の魅力
痛みを与えるだけが鞭ではありません。ほかのことをしなくても、ほかの道具を使わなくても純粋に鞭だけでプレイを成立させられます。
鞭だけで満足させることもできる
鞭の痛みだけで逝ける人もいます。その快感はセックスで得られるものとは別物で、痛みの中でありながら同時に強烈な快楽を得られます。
もちろん、みんながみんな鞭で逝けるわけではありません。それでも良い鞭を使い、適した振り方をすれば、鞭だけで相手を満足させることができます。
かなり上級のテクニックですが、鞭はただ痛いだけではないということを理解してほしいと思います。
まとめ 自分と相手に合った最高の一本を
鞭について解説しましたが、いかがでしたでしょうか。
自分と相手に合った鞭を使うことが大切です。そのためにも購入の際には時間かけてじっくり選んでもらいたいです。
自分の技術も高められプレイの幅も広がり、お客様をより楽しませることができるでしょう。