プロフィール
枳穀
北海道根室市出身。実家は地域最大級の酪農農家。お父様は大手企業の実力者でもあり、完全な温室育ち。自分の力で名声を手に入れようと酪農大学を卒業後、家を飛び出すが苦労の連続。韓国で日本語学校の教師をしたり、カレー屋経営を目指したり、デリヘル店を立ち上げたり、と実に波乱万丈な人生を歩み今に至る。すべての困難も力に変えてしまうような前向きさと、周囲を明るくするような極上の笑顔が魅力!
このインタビューのポイント!
- 高級店の常識を覆すこだわりが満載
- オープン直後からお客様が驚いた女性のクオリティ
- 未経験からの入店が基本なのでゼロから講習
2018年12月、吉原に高級店がオープン。複数店舗を有する大手グループ会社の傘下にあり、姉妹店はあの人気店「石榴(ざくろ)」だ。
今回紹介する『ルピナス』のコンセプトは「最高級の恋人系」。
素人感のあるピュアな女性が、たとえおぼつかないサービスであっても一生懸命になる姿は、男性の心を揺れ動かすものだ。
お話をお聞きした枳穀(きこく)さんは、複数店舗の統括をする代表取締役。年下の私が言うのは大変失礼なのだが“高級店のトップ”というイメージからはかけ離れた、おもしろキャラ(笑)。人当たりもよく、何より話しやすい。取材にあたり通された部屋には、女性講習員をはじめ、代わるがわるスタッフの方が出入りをしていたが、皆さんと楽しく談笑しており、とてもいい雰囲気だった。
高級店なら当然ともいえるMットサービスをなくし、スキン着用は必須。にもかかわらず、客単価は8万円以上。それでも連日噂を聞きつけたお客様が後を絶たないという。
枳穀さんが、働く女性とお客様、どちらにも自信を持ってオススメできると断言する『ルピナス』。高級店のイメージを覆す吉原の新星に注目してほしい。
高級店の常識を覆すこだわりが満載
――こちらは新店になりますが、お店の特徴を教えてください。
高級店なのですが、素人っぽさ、恋人感覚を売りにした店です。完全スキン着用でMットもなし。1本あたりのバック額が120分5万円、指名なら6万円です。どちらかというと姉妹店の「石榴」は経験者やベテランキャストが多く、『ルピナス』は未経験や経験の浅い子が中心ですね。
――そもそも高級店で未経験を積極採用というのが、あまりピンと来ないんですが。
そうですよね。常識的なイメージでいくと高級店にはプロフェッショナルな技術やサービスを期待しているので「素人感」を売りにする店は少ないと思いますよ。素人っていっても、高級店の場合、ほぼMットはありますからね。
――Mットがないのはなぜですか?サービスを求めていないお客様が増えたとか?
それも大いにあります。あとは、何よりもMットがあることで女の子側の敷居が高くなってしまうということ。すごくかわいくて、すごくソープに興味があるのに、技術力がないからと二の足を踏んでいる子ってすごく多いんですよね。だから、その垣根を取っ払うために思い切ってやめたんです。
――大衆素人店はMット無しも結構ありますが、高級店でMットなしはやっぱり思い切った感じがしますね。何か他にも、常識を覆すようなエピソードはありますか?
大きいといわれるのは雑費なしですかね。高級店は雑費と称して結構な額を給与から差し引くことが多いのですが、うちは雑費がないことだけでなく女の子が払う持ち出しもありません。
――高級店の雑費や、持ち出し費用について教えてください。
雑費1回5千円なんてのもザラですね。持ち出しは撮影も自分でスタジオ探して撮りに行ってもらったり。これはキャストさんが自腹で何万も払っているケースが多いです。あとは制服があるところは初期費用で制服代として数万円だったり。
――そんなにいろいろかかるんですか。知りませんでした。
講習を受けるにもお金がかかることがあります。講習費用を先払いしたのに、実技で合格しなければ接客ができないから、体験入店すらすぐにできないこともあるんですよ。その点うちは、事前に用意するものもありませんし、素人店として打ち出しているから、入店時には技術力なんていらない。だから面接に来てすぐに体験入店もできますからね。
――いいことしかないじゃないですか!
皆さんにそう思ってもらうために作った店ですからね(笑)
オープン直後からお客様が驚いた女性のクオリティ
――枳穀さんが風俗業界に入った経緯を教えていただけますか?
話せば長くなるんですよ(笑)。簡単にいうと、何一つ不自由なく、裕福に育っていた環境を飛び出して、自分で一旗揚げようとしたけど、大失敗。あれこれ放浪し、韓国での日本語教師をやった時期も。そこで作ったカレーが好評で、だったらカレー屋を目指そうと一念発起。資金を貯めるために日本のヘルスに出稼ぎに来たのが風俗入りのきっかけです。
――話がぶっ飛んでますね(笑)
そのヘルスはグループ店だったんですが、自分が店長になったらどん底だった店舗の売り上げが1位になったんですよ。本来はスタッフ全員でつかみ取った成績なのに、自分の力だと勘違いしてしまったんですよね。調子に乗って「俺にも経営できるんじゃないか」と勢いだけでお店を経営してみたら、7か月で倒産しました。この時に初めて、今まで自分の力を過信していたんだと悟りました(笑)
――うーん、なんともコメントがしづらいです(笑)。で、その後は?
グループ店のときに、独学で覚えたカメラの腕が評価されていたんですよ。有名店だと他店のスタッフとも顔見知りになったりするんですが、たまたま街中で「うちの店も撮ってよ」と声をかけられたのが、今のグループの会長だったんです。
――まとめると、もともとは広大な牧場を持つ酪農会社の御曹司で、学校の先生をやりながらカレー屋を目指すことを決め、日本の風俗店へ出稼ぎして、成功と失敗を経験し、今に至るわけですね(笑)
そうそう。要はいろいろやってるってこと(笑)。で、こっちにきて店舗を任されるようになって、今はカメラマンではなく、複数店舗を見るような立場になりました。
――でも、やはり常に人の上に立つようなポジションに就かれていますよね。
こちらのお店は、まだオープンして間もないですが、お客様からの反応はいかがですか?
それが驚くほどいいんですよ。びっくりしたのが1日3回入ったお客様がいるんです。
――1日3回ってどういう意味ですか?
プレイを終えて「よかったよ。この店はいいね。他にも今日は入れる子いるの?」って感じです。合計3回、3人別々の子で、ですよ。数十万1日でポーンと使えるような方なのもすごいですが、どの子を選んでもいい、とおっしゃっていただいたことが何より嬉しかったですね。
――やはり、かなり女性の質にはこだわっているわけですよね。
もちろんです。見た目も美しいですが、あくまでも素人系の美しさなので、モデルのような完璧なルックスを求めているわけではないんです。ただし、愛嬌の良さは絶対条件です。どんなに綺麗でも、結局終わったあとに「楽しかった」と思えるのは、愛嬌の良さなんですよ。やはり面接で話せば、感じの良し悪しは、ある程度わかりますね。
――とくにこちらのお店はテクニック勝負ではないから、余計にそういった内面が重要になってきそうですね。
その通りです。うちは未経験の子が多いことをお客様が理解しているため、うまくできなくても大丈夫。もちろん、一生懸命頑張る姿勢がないとダメですよ。それがあればお客様は文句を言いません。むしろ応援してくれますから。
未経験からの入店が基本なのでゼロから講習
――さきほど女性スタッフさんを見かけましたが、講師の方でしょうか?
そうです。元キャストで、グループでは断トツの信頼度を誇る女性スタッフが講習を受け持っています。気さくで、物知りなので、仕事だけでなくプライベートな面でも女の子たちに何かと頼りにされているようです。
――初めての方にとって、女性の講習員さんだと安心でしょうね。
うちの店の講習はみんな未経験だと思って講習をします。高級店だとどうしても経験者が当たり前なので、知ってて当然と思うことはあえて教えない場合もあります。
――「知ってて当然」なことって、具体的にはどんなことがありますか?
例えばスキンって、本来は女の子が自然なタイミングで装着するものです。でも教えられていないと袋に入ったままお客様に渡してしまう子もいるんです。そういった細かいことは未経験だと何もわからないですよね。
全員が未経験前提なので「そんなことも知らないのか」と上から目線で言うことはありません。全部お店に教えてもらう、というつもりで大丈夫です。
――なるほど。流れだけでなく、一つひとつ噛み砕いて教えてくれるわけですね。
「完全未経験で飛び込める高級店」ですから。
――高級店らしく綺麗なお店ですが、施設面でのアピールポイントはありますか?
プライベートが確保できる個室待機であること。あとはプレイルームの広さです。あまりに広くてみんなびっくりしていますよ(笑)
――あ、エントランスの熱帯魚も癒しポイントですね(笑)。では、最後に枳穀さんが考える、今後のキャリアビジョンをお聞かせいただけますか?
吉原に高級店を増やすこと。そして別エリアにソープ以外の業種を増やすこと。例えば川崎、池袋にも進出していきたいですね。
――別エリア、別業種を増やす理由は?
街がつぶれたら店は潰れます。業種が下火になれば、街にこだわらず煽りを食うかもしれません。だから売れる街に、いろいろな業種を置き、個々の生産性を上げることは今後グループとして成長するために必要だと感じています。
今51歳なので、あと9年以内に達成したいです。60超えてバリバリ働くのは難しいだろうから、それまでにね(笑)。
――未経験女性が働くための鋭い着眼点と、枳穀さんの波乱万丈な過去のお話。どちらも大変興味深く聞かせていただきました。
楽しく働くことが一番。まだまだ新しい店だし、何も知らなくて大丈夫。この店を通じ、仕事を楽しみながら人間的にも、キャストとしても成長していってくれたら嬉しいですね。そして1日でも早く卒業できるよう、しっかり稼がせてあげたいと思っています。
- 取材・文=みやねぇ(@mikke_story_myn)
- 撮影=伊藤メイ子