プロフィール
山口崇
静岡県出身。ゲイであることをカミングアウトしている。ゲイバー勤務、キャバクラ店長を経て、約1年半前に風俗業界へ。インテリアに凝っていて、定期的に模様替えを行っている。趣味はネットショッピング。好きな雑貨や観葉植物をついつい買ってしまうのだとか。休日は自宅で愛猫とまったり過ごすことが多い。
このインタビューのポイント!
- 女性に注意するときは、おネェ口調でやんわりと
- 連日満員御礼!回転率の高さには自信あり
- 「信長にこの人あり!」と言われるよう、日々奮闘中
吉原の熟女専門ソープランド『信長』。吉原遊郭を彷彿させる純和風の入り口に一歩足を踏み入れると、和服の美しい熟女たちが迎え入れてくれる。利用しやすい価格帯ということもあり、熟練の技を求めて来店する男性が後を絶たないという。「骨抜きにされてしまう」と、実際に利用した男性からの評判はかなり高い。
在籍女性の年齢層は幅広く、見た目や体型も様々。熟女専門店と謳ってはいるが、実際は20代後半の女性も働いている。落ち着いた雰囲気の女性であれば、年齢は関係ないのだろう。「若さ」や「ルックス」を求めるお客様が少ないため、どんな年代、どんなタイプの女性も活躍できるのだとか。リピーターが多く、回転率も高い人気店なので、稼ぎやすい環境は整っていると言えるだろう。
今回お話を伺ったのは、ゲイであることを公表しているマネージャーの山口さん。男性と女性、両方の視点を持っている強みを生かし、「おネェキャラ」全開でズバズバと切り込む姿は見ていて気持ちがいい。お客様からもキャストからも愛されて、同店の名物マネージャーとして活躍中だ。
女性に注意するときは、おネェ口調でやんわりと
――ゲイであることをカミングアウトしていると伺いました。山口さんのこれまでの経歴を教えていただけますか。
風俗業界に入る前は、ずっと水商売。約20年間、新宿二丁目のゲイバーで働いて、その後は5年ほど上野のキャバクラで店長をしていました。
――同じ水商売とはいえ、ゲイバー勤務とキャバクラの店長では畑違いの仕事のような気がしますが……。
キャバクラのオーナーがゲイバー時代のお客様で。「店を盛り上げてくれないか」と声をかけられたんです。同じ水商売でも業態が違うので悩みましたが、挑戦してみるのも面白いかなと。入店2ヶ月で店長になったんですよ。
――キャバクラでもゲイであることを公表して働いていたのでしょうか?
最初は隠していたんですけど、だんだん息苦しくなってしまい、2ヶ月後にカミングアウト。キャストとは“オンナ同士”として距離がぐっと縮まり、お客様からも「おネェの店長」として愛されることができたので、思いきってカミングアウトしてよかったですね。
――その後、どうして風俗業界に入られたのですか?
おネェ仲間から紹介された女性が『信長』の社長で、縁あって1年半前にこの店へ。社長の人柄に惚れて風俗の世界に飛び込んだんです。まったく知らない風俗業界に対して、冒険心みたいなものもあったかもしれない (笑)。それに、お酒の飲みすぎで体を壊してしまい、もう水商売を続けるのは無理だな……って感じていたので。今振り返ると、風俗業界への転身はちょうどいいタイミングだったと思います。
――吉原では珍しい女性社長ですよね。先ほど、お店の前でドーベルマンを連れていらっしゃる姿をお見かけしましたが、ものすごく素敵でした!美しいだけじゃなくて、オーラがすごくて……。
素敵オーラがバンバン出ていますよね。社長がフロントに立っていると、お客様は皆さん、その美しさに目を奪われてしまうみたい。ルックスはもちろん、キャストやスタッフをとても大事にしてくれる素敵な人なんです。女性ならではの視点や細やかな気遣いで、キャストからの信頼も絶大。頑張っている人間をきちんと評価してくれるので、働きがいがありますね。
――女性同士にしか分からないこともありますから、お店で働く女性にとって心強い存在ですね。キャストさんと接する際、山口さんが意識していることはありますか?
女性に注意するときは「おネェ口調」で(笑)。どんなにキツイことを言っても、おネェ口調だとまろやかな印象になるんですよ。角が立たないし、女性も嫌な気持ちにならないみたい。
――たしかに、そうかも(笑)。
それから、ゲイバー時代からずっと心掛けているのは「最後は笑って和やかに」ということ。その場を嫌な気持ちで終わらせないことが大事なんです。だから、どんな状況でも必ず笑いに変えたい。お菓子を渡して「これで勘弁して」なんてことも (笑)。
連日満員御礼!回転率の高さには自信あり
――お客様も山口さんのキャラクターはご存知なのでしょうか?
社長から「キャラをもっと出していいよ」と言われているので、基本的にはお客様に対してもおネェキャラ。スタッフ日記(ブログ)は、完全に笑わそうと思って書いています (笑)。このキャラがだいぶ浸透してきたみたいで、最近は「たかしくん」って呼ばれることも増えてきました。お客様から「たか子」って呼ばれたら最高の幸せですね(笑)。
――たか子ってかわいい(笑)。こちらのお店は熟女専門のソープランドですが、客層はいかがでしょう?
20代~80代まで、幅広い年代の男性が来店されますが、一番多いのは40代~50代の男性ですね。
――在籍している女性は何歳ぐらいの方が多いですか?
20代後半~50代の女性が在籍しています。キャストと冗談でよく言うのが「棺桶に入るまでこの店で」(笑)。うちは熟女店ですから、それぐらいの気合いで頑張りましょうって意味で言ってるんです。専業でこの仕事をしている女性がほとんどですから。
――比較的若い年齢の女性から50代まで、いろんな年代の女性が在籍しているんですね。人気が出るのはどんな女性なのでしょうか?
熟女店ですから、それはやっぱり熟練の技を持つ女性だと思いますよ。
――皆さん、テクニックが凄そう……。
男性は皆さん、骨抜きにされてしまうみたい。若い子にはない凄いテクニックがあるんでしょうね。新規のお客様の様子をみていると分かりやすいですよ。最初は緊張してガチガチだったのに、終わった後は仲良く手をつないで受付に戻ってきますから。
――テクニック以外の部分で、人気嬢に共通している特徴はありますか?
お客様の好みやその日の気分に合わせて、いろんなキャラを演じ分けられるってことかな。気持ちを察して、ニーズに応えるってことが大事なんだと思います。今のナンバーワンも前のナンバーワンも、そういうタイプの女性でしたから。「今日は女優の黒〇瞳で行こう!」って設定を決めて接客に入る面白い女性もいましたよ。
――特定の女優さんになりきって接客するのは、面白いですね。ホームページの女性一覧では、皆さん和服を着ていらっしゃいますが、もしかすると接客も和服で?
そうなんです、うちの店では接客するときも和服。ただ、毎月21~25日のドレスDAYは洋装での接客になります。お客様もキャストもいつもとは違った気持ちでプレイできるみたいで、ドレスDAYは好評なんですよ。
――和装と洋装、お客様は両方楽しめるというわけですね。こちらのお店は、集客力や回転率も高そう。私が取材に伺ってから数十分が経ちましたが、ひっきりなしにお客様がいらっしゃっていて人気の高さが伝わってきます。
おかげさまで、連日満員御礼。回転率はかなりいいですよ。料金が格安設定で、指名料は無料。他の店のように時間帯で料金が変わることもありませんから、男性は利用しやすいんだと思います。来店したお客様には「毎日どうですか?」って言っているぐらい。写真を見せながら「今日はこの子、明日はこの子、明後日はこの子でいかが?」って感じで(笑)。
「信長にこの人あり!」と言われるよう、日々奮闘中
――山口さんの言葉に乗せられて、毎日通ってしまいそうですね(笑)。
新規のお客様を掴むのが男性スタッフの役目ですからね。女性が一生懸命に接客してリピーターを獲得してくれるわけですから、受付でもしっかりお客様の心を掴まないと。
――スタッフがそう思ってくれていると、女性も嬉しいですね。キャストさんへのバック金額はいくらぐらいなのでしょう?
60分のコースでバックは6千円。バック率は60%です。それでも、1日6~7万円ぐらい稼いでいる女性も結構いますよ。女性には体に無理のない程度にって言ってますから、平均すると1日3~4万円といったところでしょうか。
――店内や待機所についても教えてください。
女性の控え室はカーテンで8部屋に区切っていますので、周囲に気を遣う必要はありません。それから、今ちょうどプレイルームを全部屋改装しているところなんです。もう半分が終わっている状態なので、これから入店する女性は綺麗な部屋で働くことができますよ。
――綺麗なお部屋で働けるのは嬉しいですね。熟女店というと風俗経験者ばかりのイメージですが、未経験者でも働くことはできますか?
たしかに経験者は多いですけど、未経験者も大歓迎です。うちの店には経験を積まれた女性がたくさんいますから、技術面についていろいろ質問してみるといいかもしれませんよ。しっかり稼げるように、私もフォローするので未経験でも問題ありません。
――未経験でも大丈夫と聞いて安心しました。
夢を持っている女性や芯が強い女性なら大丈夫。どんな方でも、面接に来ていただけたらほぼ100%採用しています。自分の欠点を認めて、他人からのアドバイスに耳を傾けられる女性なら、自分が思っている以上に稼ぐことができると思いますよ。
――山口さんからもたくさんアドバイスしてもらえそうですね。
宣材写真を撮るときは、髪の毛を巻いてあげたり、メイクをしてあげたり。写メ日記についても、よくアドバスしていますね。この店で働いているからには、とにかく稼いで欲しい。そのために私ができることは何でもしてあげたいんです。
――今後も吉原で働いていく予定ですか?
もちろんです。この業界に入ったからには、自分の存在価値を見出したい。極端な話、「あそこのマネージャーおネェらしいよ。ひやかしにでもいってみようか。」でもいいんです。吉原で30年以上続いている店なので、その伝統を守りつつ、時代のニーズに合わせてもっと盛り上げていきたいなと。「信長にこの人あり!」と思ってもらえるぐらいになりたいですね。
――吉原でゲイのマネージャーさんは聞いたことないですから、そうなる日も近いのでは?
いい意味で「ヤバい」って言われたい。「信長ヤバい!」「たかしヤバい!」みたいな(笑)。
――最後に、今後の目標を一言でお願いします!
吉原の革命児になってやる!(笑)
- 取材・文=松尾さと
- 撮影=伊藤メイ子