プロフィール
S
東京都出身。大学卒業後、広告代理店に入社。3年勤務したが営業職で持病の腰痛が悪化し会社を退職。その後、上司が経営していたコーヒー専門店で店長を務める。「もっと稼ぎたい」という衝動から風俗業界へ飛び込み、気づけば早9年。趣味は犬(シェパード!)と遊ぶこと。朝晩の散歩は欠かさず、一人暮らしのためペットシッターも依頼しているほど大切にしているそう。
このインタビューのポイント!
- 男も女も関係ない。稼ぐなら風俗だと思った
- 価値に見合う接客ができるなら特別価格で設定も!
- 仕事を時給感覚で考えているならばリセットしてほしい
若くて、かわいい女の子が揃う街、と名高い渋谷。風俗激戦区だけに、消えていく店舗も少なくない。そんななか『渋谷くぃーんず』は、創業18年目の実績店。学生率はなんと9割。素人系のピュアな女の子にこだわり、長年通う常連客からも高い信頼を得ている。
お話を聞いたのは、端正な顔立ちのイケメン店長Sさん。「うちの店は、なぜかわがままな子ほど売れる。接客で最高のパフォーマンスを出してくれれば何でも許す」のだそう。
店長のポリシーは、自己管理能力・プロデュース力を身に着けてもらうこと。お金を稼いだときのわくわく感、自分で付加価値をつけていく面白さを根気よく伝えていくことで、女の子たちは売れるコツを身に着けていけるのだとか。
とにかくゆるい。お客様への対応さえ誤らなければ店にはわがまま言い放題。「自己管理能力を持てるようになれば、うちは絶対に稼げる店」だと、力強く語ってくれた。
男も女も関係ない。稼ぐなら風俗だと思った
――S店長の経歴を簡単に教えていただけますか?
大学を卒業後、広告代理店に就職しました。3年勤めたときに、持病の腰痛が悪化。毎日歩き回る営業職を続けることが厳しくなり退職を申し出ました。そこで当時の社長から、「この会社のほかに、自分が経営しているコーヒー専門店がある。店長として働かないか」と声をかけていただき、転職しました。
――コーヒー専門店なんてオシャレ!でも飲食店は学ぶことも多そうですね。
はい。アルバイトとして働くわけではないので、調理師免許も取りましたよ。この店でも3年働いたんですけど、やっぱり売り上げが見込めない。都心の一等地ではありましたが、コーヒーの個人店は難しかった。自分には成功させる力が足りませんでした。
――たしかにチェーン店も多い業界ですし。そのあとはここへ?
もうとにかく稼ぐことに飢えていたんです。ずっと余裕のない暮らしをしていたので、大金を稼ぎたい、という思いだけで「稼ぐなら風俗だろう」と、求人サイトを見てこの世界に飛び込んできました。最初に選んだのがたまたまこの店だったんですよね。
――ここのお店を選んだ理由は何だったのでしょう?
ぶっちゃけ長く働く気はなかったので、どこでもよかったんです。立地で選んだくらい。貯めるだけ貯めて、すぐに辞めるつもりでした(笑)
――なるほど。でも、気に入るところがあって辞めずに続けているわけですね。
いざ働いてみたら、人が良かった。社長も裏表がない、信じられる人だと思ったし、若いスタッフたちも一生懸命働く。もちろんこの世界は入れ替わりが激しいけれど、それは仕方ない。残ってる人間はみんな気持ちがいいし、仕事のやりがいも思いのほか大きくて、もう9年も働いています(笑)
――当初の目標だった「稼ぐ」ということについては叶いましたか?
そうですね。この世界は実力勝負。店の売り上げは自分の歩合にもつながります。もちろん女の子も同じですよね。やればやっただけしっかりと報酬として返ってくるのがこの世界。早いうちから面接や顧客管理など、幅広い仕事を任せてもらえたので、飽きることもなかったし、いろいろな仕事をすることで次のアイデアも生まれていくので、本当にやりがいがある仕事だなと感じています。
価値に見合う接客ができるなら特別価格で設定も!
――こちらは素人店だそうですが、完全な風俗未経験者はどれくらいいるのでしょう?
未経験者は7割ですね。3割は何かしら経験のある子。でも、経験豊富な子はほとんど来ないし、来てもコンセプトを理解せずに慣れた接客をしてしまうと、やはりお客様はつきません。経験がある子ももちろん歓迎しますが、素人感を出せなければ厳しいですね。
――お客様も素人らしい反応を求めているわけですものね。
その通りです。うちは講習も一切ありません。お客様は風俗に染まっていない女の子と遊びたいので、素のままでいいんです。
――とはいえ、基本マナーなんかはしっかり教えますよね。
仕事の一連の流れは教えますが、細かいことは本人に考えてもらうようにしています。売れていくには、これが重要。わからないことには手を差し伸べますが、店側でマニュアルは用意しません。風俗嬢は個人事業主。基本は自分次第、ということをまず理解してもらいたいんですよ。面接をして、意向次第ではその子だけの価格を設定することだってできるんです。
――具体的にはどういうことでしょう?
お客様の通常の料金設定はありますが、本人の要望があれば、その子に付加価値をつけて特別プライスで推すこともできます。ただし、付加価値をつけるだけのルックス、内面、接客力がなければ、店としての悪評がたってしまうので、そこはきちんと吟味します。
自分のプロデュースができるのであれば店は協力するし、稼げるようにしっかりバックアップしていきます。
――ホームページを拝見しましたが、特別価格の子、確かにいますね!しかも、NGプレイや時間設定も差がありました。そういうことですか。
うちはわがままを言ってくれて構いません。極端な話、お客様の容姿すらNGを出す子もいます。そのかわり、NGを出しても他でしっかり満足していただく接客ができれば問題ないわけです。
――容姿でNGを出すことも許可するんですか?
ランクにかかわらず、全員共通であらゆる要望を一旦は聞くようにしています。太っている人はいやだ、とか、50代以上はいやだ、とか、待機は外でしたい、とか、出勤予定もころころ変えるし。もうみんなわがまま(笑)。もちろん、お客様に迷惑をかけないことは大前提です。
――店長も大変ですね(笑)
まぁ今の子って、それが当たり前というか、もうそういう時代なんですかね。でもそういうわがままを言う子に限って、本当にいい仕事をするんです。自分を持っている、というか、何か光るものがある子が多いんですよ。
仕事を時給感覚で考えているならばリセットしてほしい
――お話を聞いていると、すごく甘い反面、自己責任能力を問う厳しさもありますよね。
この仕事って大変ですけど、稼げる額は他の仕事とはケタ違いですよね。「何時間出勤すればいくら稼げますか?」という質問をする子がいますが、そうではないんです。それだけの大金を払っていただくんだから、何にしても店任せではなく、どうすれば喜んでもらえるのか。次につながるのか。きちんと自分で考える習慣をつけてほしいんです。
――女の子の収入的には、1本あたりどの程度、バックが入るのでしょうか?
メインは60分コースですが、1万円~ランクの高い子で最大2万5千円のバックですね。
――1本あたりそこまでのバックはかなり魅力的ですね。
若い、という武器にどれだけ自分の魅力をプラスしていくか。他の店で売れなかった子がうちにもたくさん面接にきますが、売れるためにどうすべきかを全く考えていない子が本当に多くて。
――それってなかなか難しいと思いますけど…。
でも、簡単にできることってすごく多いんですよ。例えば服装。派手すぎたり、ロリータ系の服だったり。これでは素人系が好きなお客様にとって個性が強すぎるんです。プライベートでは何を着てもいいけど、稼ぐためにうちの店に来るのであれば、稼げるような外見を意識してほしいわけです。決して美人になれとは言いませんから(笑)
――では、店長から見た、女の子がこのお店で働くメリットを教えてください。
受付を通すホテヘルなので、お客様をきちんとチェックできるということ。だから好みのうるさい女の子にも対応ができるわけです(笑)。あとは在籍数が200名近くいることと、営業年数が長いので、必然的にお客様の数も多くなります。
とにかくゆるさが自慢なので、一度辞めても戻ってくる子もたくさんいるくらい。
――ゆるさが自慢と言い切るのもすごいですが(笑)女の子が気持ちよく働けるならそれが一番かもしれませんね。
僕の夢は、まずうちの店を渋谷で一番にすること。そのためには女の子の力がなくてはならないわけです。適当に出勤して、稼げなくなったから別の店へ、という考えではなく、働くことの意義、工夫、面白さを知れば、収入は必然的にあがっていくはずですから。
――店長もそれらを知って、今のポジションがあるんですものね。
僕はお金を稼ぎたくてこの世界に飛び込んできました。本当にお金は世界を変えます。女の子であれば数か月に一度だった美容室への頻度はあがり、エステにも行ける、好きな服が買える。絶対にキレイになれる。若さに価値がある今、お金がなければ見れなかった新しい世界を楽しんでもらいたいと思うんですよね。
- 取材・文=みやねぇ(@mikke_story_myn)
- 撮影=伊藤メイ子