プロフィール
山田
1978年東京生まれ。大学時代から風俗業に興味があったが、まずは社会勉強として広告代理店や一般企業の営業を経験。2013年、晴れてFCオーナーに。冷静で温厚だが意外に涙もろい。一番泣いた映画は「火垂の墓」と「東京タワー」。好きな女優は宮﨑あおい。
このインタビューのポイント!
- きっかけは「風俗って面白そう」。好奇心で立ち上げた
- ソフトサービスで、いかにお客様を楽しませることができるか
- 仕事を楽しむようになれば結果がついてくる
初めてお会いした時に「風俗っぽくない方」と感じたのは間違いではなかった。
オーナーになる方は、風俗の店舗を経験しているケースが大多数だと思うが、山田氏は全くの未経験でお店を構えた。それは大学時代からの夢だったそう。
例えていうなら「空気っぽい」。存在感はあるけれど、物腰がとても柔らかで、順応性が高く、業界に染まっていない雰囲気がある。成功している要因は、やはり良いもの・時代の流れを素直にキャッチする力があるのだろう。
きっかけは「風俗って面白そう」。好奇心で立ち上げた
――業界経験なく、いきなりオーナーってすごいですね。なぜ風俗の世界へ?
本を読むのが好きで、いろいろなジャンルを読むのですが、大学時代から著名な風俗ライターの本や社会学者の体験談なんかを読んで興味を持ちました。風俗に焦点を当てて社会問題として切り込んでいたり。
単純に好奇心から「やりたいな」と思っていて、ただそうはいっても親の手前もあるし、葛藤もありました。なので、最初は普通にサラリーマンとして働いて“時期を待っていた”、という感じでしょうか。広告代理店や、企業の営業として働いているうちに、風営法が改正し、開業の敷居が下がったんですよ。デリヘリもほぼ合法化したので、このあたりで開業している店がやはり多いですね。
――FCのオーナーということですが、このお店を選んだ理由を教えてください
デリヘルは競合が多いのと、やはり自分はノウハウがないので、最初は競合が少ない回春エステにしようと思いました。一応FCということになっていますが、店名はあるものの中身は本当に自分で全て組み立てられるのが魅力でした。
ソフトサービスなので女の子にも優しいな、というのもありました。
ソフトサービスで、いかにお客様を楽しませることができるか
――実際に、回春エステという職種についてはやってみて正解だったと思いますか?
よかったと思います。面白いです。
プレイ内容に制約がある中で、どれだけお客様に満足していただけるか、楽しんでいただけるかが腕の見せどころです。
――例えばいろいろなイベントをやったりとか?
そうですね。「90分で3回ヌケるか」、「抜けずに帰れたらキャッシュバック」とか。エネマグラやTENGAを使うイベントなんかもやりましたね。
ちなみに「絶対に声を出しちゃダメ」っていうイベントは大コケしました。お客様に「いや、普通でいいです。普通でお願いします」って言われて(笑)。イベントは今後も失敗を恐れずいろいろチャレンジしてみます(笑)。
――回春エステの魅力は何だと思いますか?
単なる手コキではないこと。局部だけではなく、あらゆる角度から性感を高め、最後に手コキなんです。だから射精するだけの満足度とは違う気持ち良さがあると思います。
――働く女の子にとっての魅力についてはいかがでしょう?
まず、仕事内容的には病気にかかるリスクが無いこと。
うちのお店のことでいえば、よく女の子に「風俗っぽくないお店」と言われます。僕が風俗経験者でないからなんだと思いますが、風俗慣れしていないような普通の子も働きやすいと思います。
あとは、技術力でダントツの指名率を誇る女の子が、しっかりと研修を行います。彼女は店外でも講師ができるレベルなので、頼りにしていただければ!
――逆にもっとこうしていきたい、というような改善点があれば教えてください
全員が指名を取れるようにしていきたいです。そのためには女の子のレベルを全体的に底上げしたい。これは研修もそうですし、仕事が楽しいと思える環境があれば自然に気持ちも乗ってくるかなと思っています。
みんなが楽しく働けるようになれば、「客入りが読めない」ということも今よりは減るのかなと。
仕事を楽しむようになれば結果がついてくる
――指名にはかなり差が出ていますか?
さきほどお話をした、うちの講師兼プレイヤー。水田まりさんというんですが、彼女の指名数は2位、3位の子の数を足してもまだ追いつかないくらいダントツです。
みんな出払って、誰もいない状況のときだけ新規をまわしているという不利な状態でもきっちり指名を返してきます。
ただ、昔の水田さんはまったく指名が取れない女の子でした。悩んで勉強して、仕事を楽しめるようになって大きく開花した子なので、このあたりも身近にお手本になる先輩がいるので参考になることは多いかなと。
――キャストさんとのコミュニケーションで意識していることはありますか?
そうですね、例えば髪型やメイクを変えた時、悩みがありそうな子には声をかけますね。ただ、無理して話しかけるとかは逆にしないです。
集団待機なので、みんなが自由にできるよう空気を読んで場を離れてたり(笑)。
うちは待機中何やってもOKです。近場であれば外出も許可します。
また、自分は信頼関係を大事にしているので、挨拶や誠意はしっかり伝えているつもりです。そして情報も正しく伝えています。
例えば少々口が悪いお客様などが来た場合「大丈夫だから行ってきて!」などと軽く言ったりしません。正しい情報を伝え、対応策を伝え、そのうえで女の子が了承した場合にしか付けません。
――それでは、お店を経営されて一番辛かったことは何ですか?
連絡なしにキャストさんが辞めてしまうこと。何が理由なのか、改善できることがあったのか、考えれば考えるほど本当に辛くて最初は病んでしまいそうでした。でもそういう子が多いと聞いて、そこまで悩んでしまうとこの先大変だと思ってそこから気持ちは切り替えました。
ただ、絶対に無理に引き止めないので、辞めるときは言ってほしいです(笑)。
――では、最後に店長が考える「やりがい」を教えてください。
今、「性」という人間にとって大事なものに関わっていることにやりがいを感じています。
そして、お客様からお礼の電話やメールをいただいたり、伸び悩んでいるキャストさんに結果がついた時に何より喜びを感じます。わざわざお客様からお褒めの言葉をいただけるって、よほど良いサービスが提供できたからだと思うんですよ。女の子に伝えるとものすごく喜んでくれますね。この喜びを全員で共有できる店づくりが、僕の目標です。
- 取材・文=みやねぇ(@mikke_story_myn)