「性を楽しむきっかけ作り」となる起業をしたい! 『手コキ研究会』を主催する“今賀はる”さんの壮大なる目標

吉岡先生、今賀はるさん

毎月1度新宿で開催されている『手コキ研究会』というイベントがある。

ここは新宿二丁目。今賀はるさんの「手コキ研究会」は性別も性的指向も、すべてボーダーレス♪

2016年3月に開催された第1回手コキ研究会は多くのメディアの耳目を集め、さまざまな誌面をにぎわしたので、目にされた方が多いのではないだろうか?

今回お話を聞いたのは、手コキ研究会を主催する3名のうちのおひとり、今賀はるさんである。ソープ、エステ、AVなどアダルト業界で活躍する彼女だが、風俗入りする前は管理栄養士の肩書をもつ大学院卒のインテリで、会社設立経験(※現在は休眠中)のある起業願望の強い女性である。

──手コキ研究会は、起ち上げてまだ1年も経ってないのに、ブランドとして確立した感があります。すごい注目度ですね

最初のころは知り合いの人しかいなかったんです。知り合いが口コミで人を集めてくれたイベントだったんですが、『Fenixzine』さんから取材してもらったり、ネットを見て来てくれたり、という人が徐々に増えてくれて。

手コキ研究会は風俗業界の人だけが対象ではないんですよ。「男女ともに性を楽しむきっかけづくりになったらいいな」っていう趣旨の会なんです。風俗とは一切関係ない女性や、面識のなかった方が来てくれて、次第に広がりが出てきましたね。

吉岡先生、今賀はるさん対談1
──ゲストの方も多く参加されていますし

一番お世話になっているのが、元AV男優の太賀麻郎さん。あとはNPO法人LOCの大岩佐知子先生がピルの話をしに来てくれました。ほかには精神保健福祉士の方に、“性癖と精神医学”みたいな感じで性癖を医学的に語ってもらいました。

スピンオフ企画では、太賀さんと現役AV男優の辻丸耕平さんと私で、AV出演強要問題の企画を行いました。それ以外は手コキ研究会側で話題を準備することが多いですね。
例えばコンドームの話をした時は、いろいろ種類があるし素材も違う。「正しい付け方を知ってますか?」とか、「コンドームを着けるのを嫌がる人がいるけれどもどう思いますか?」とかディスカッションをしたり、前回(2016年11月)はローションの話をしたりしました。

──確かにコンドームもローションも知ってるようで知らないですよね

そう。「コンドーム」としてしか認識されてない。いろんな種類があるってことが知られてないし、種類によって着け心地がぜんぜん違うようです。それに好き嫌いもあるでしょうしね。

──手コキ研究会として今後取り組みたいことはありますか?

ホームページを作りたいですね。手コキ研究会の情報は、Twitterか私のブログくらいしか載ってなくて、それだと検索しにくい人もいると思うので。手コキ四十八手の動画をその中に作ってもいいと思うし。

あと2017年2月17日にもスピンオフで、太賀さんと泌尿器科医の内田洋介先生との対談企画を行いますが、テーマはずばり「気持ちよさとはなにか」。
「セックスは精神的な部分が大事」「射精したのにむなしい感じは、オーガズムではないのではないか」とおっしゃる太賀さんと、体の仕組みに詳しい内田先生の話を絡めてイベントができないかなと考えています。

吉岡先生、今賀はるさん対談2
──はるさんは静岡の大学院を卒業して上京したんですよね

めちゃくちゃつらい研究室で、スケジュールが詰め詰めで夜中まで帰れない。胃が痛い思いで一生懸命、“茶カテキン”の研究をしていました。

風俗入りの動機は、就活のため静岡から東京まで新幹線で移動する交通費の確保が目的でした。最初は、「東京なんて人が住むところじゃない」ぐらいに思っていましたけど、食品系の開発とか研究の職に就きたくて。だったら大手企業に入ろうと思って、東京に絞って採用試験を受けていたら、だんだん東京が楽しくなってきたんです。

──最近はエイズ学会や性感染症学会などにも出席して、精力的に活動していますね

私が性の業界一本に絞ろうと思ったのは、起業願望をずっともっているということが理由なんです。起業するなら性にまつわるものがいいなと考えていたので、性に関することをもっといろいろ勉強しなきゃいけないな、と。

セックスワークサミット』を始め、いろんな人が開催している性関連のイベントにも参加していますが、『エイズ学会』や『性感染症学会』というのは最新の確かなデータが得られるんです。

学生時代に分野は違うけど学会に行っていたことがあるし、2015年のエイズ学会に出席して「勉強になるな」と思ったのがきっかけですね。その時は少し話を聞いただけだったのですが、2016年の同学会では、お医者さんとの人脈が一気に広がりました。

学会の懇親会でいろんな人と話して、お医者さんの視点からお話を聞くのがすごく勉強になるなと思いましたね。手コキ研究会に何か使える情報はないかとアンテナを張り、一般の人が気をつけなければならないことをひたすらメモっています。

吉岡先生、今賀はるさん対談3

鹿児島で開催されたエイズ学会では、梅毒の話が少し出ていましたが、B型肝炎もすごく危険だし、ほかの性感染症に関しても「今後の可能性として、日本でも対策が必要な感染症」という、将来的なお話を聞けました。また、手コキ研究会でピルの話をしに来てくださるかもしれない先生と知り合えたのも成果ですね。
以前は多くのセックスワーカーがエイズ学会に参加していたようですが、最近はあまり参加していないらしくて同業の方とは会いませんでした。

このような学会に参加したことを生かして、セックスワークの業界がむしろ「性病に関してしっかり対策をしているところなんですよ」っていう発信をしていきたいですね。

──過去に会社を設立し、今は休眠中とのこと。再稼動する際はどのような会社にしたいですか?

事業として「性を楽しむきっかけ作り」を軸に、性に関するセミナーを開催して一般の社会に発信していきたいなと。風俗業界に関して言えば、「性感染症の対策」はすぐにやらなきゃいけないことだと思うので、予防啓発の活動ができないかと考えています。

また、セカンドキャリアも手掛けたいけど、まだ自分自身が全然できていない状態なので人にどうこう言えない。ただ、その道を築き上げる必要性を感じています。
風俗の業界に入っても、そこから離れて働くことができるという道筋を作っていけたらいいなと思います。

現在は休眠中の会社だが、手コキ研究会の成功は復活時に大いに参考になるのではないだろうか? 今後の彼女の動向に注目したい。
後半では、「風俗嬢*今賀はる」にスポットを当て話を伺う。

後半風俗業界への差別や偏見をなくしたい。“風俗嬢“今賀はるさんが理想とするのは、安心・安全に働ける未来

風俗業界への差別や偏見をなくしたい。“風俗嬢“今賀はるさんが理想とするのは、安心・安全に働ける未来

手コキ研究会
https://tekoki-kenkyukai.com/
毎月第2土曜日19時〜21時。
場所は新宿二丁目の『akta』。事前予約不要、参加費無料
今賀はるさんのブログTwitter

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サポータープロフィール

吉岡優一郎

作家

吉岡優一郎

1964年2月23日、大阪府布施市(現東大阪市)生まれ。現在は、岡山県井原市在住。ノンフィクション作家・ライターのほか、ウェブコーディネーターの顔をもつ。著書に『風俗嬢のホンネ』『もっと風俗嬢のホンネ』『風俗嬢たちのリアル』『ベテラン風俗ライターが明かすフーゾク情報のぶっちゃけ話』『ワケありな風俗嬢たち』(いずれも彩図社)がある。また、風俗関係者のインタビューを精力的に行い、その模様をインターネットラジオ番組『フーゾクリンクラジオ』で配信している。

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