風俗業界への差別や偏見をなくしたい。“風俗嬢“今賀はるさんが理想とするのは、安心・安全に働ける未来

吉岡先生、今賀はるさん

AV女優、ソープ・エステ嬢と業種をまたぎ大活躍の今賀はるさん。その活動はとてもエネルギッシュ。

「今日は朝までエステで働いて、少しだけ仮眠して来たんですよ。私、しっかり目が開いていますかね?(笑)」

インタビュー冒頭で、はるさんはボクにそんなセリフを振ってきた。『セックスワークサミット』開催日の午前中に取材の時間を取ってもらったのだが、その明るい笑顔からは疲れがまったく感じられない。

(インタビュー前編「性を楽しむきっかけ作り」となる起業をしたい! 『手コキ研究会』を主催する“今賀はる”さんの壮大なる目標」

「性を楽しむきっかけ作り」となる起業をしたい! 『手コキ研究会』を主催する“今賀はる”さんの壮大なる目標

――今は業種をどのように掛け持ちしているんですか?

ソープとAVと、ヌキあり・ヌキなしのエステ。計4つです。基本的には、ソープとヌキありのエステへの出勤を交互に入れています。金額的なことを考えればソープなんですが、下半身を酷使するし、体の限界がありますから、休憩的にヌキありのエステや、夜間はヌキなしのメンズエステを入れています。

ヌキなしエステのほうがマッサージ自体のスキルをいろいろと試せるし、生理痛がひどいときでも入れるのもいいところかな。

――生理痛がひどいときって、ほとんどの女の子は寝てると思いますが……。

今はピルを飲んでいてだいぶ楽になってるから、2日目、3日目でも「もう動けない」っていうことはないですね。私は予定を詰めるのが好きなのかもしれない。

『性感染症学会』の時も、午前中にサーフィンをやってから岡山に向かいましたから。私ってただのオフっていうのだと一日中ベッドから出てこなくなるんですよ。動く理由がないとダメ人間になってしまう(笑)。

――仕事のうえで、指名を獲得するために工夫していることはありますか?

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あんまり自分のキャラを盛らないようにしています。盛ってうまくいく人はいるんだろうけど、私は盛るとわざとらしさが出たり、かた苦しさが出たりして、うまくいかないタイプなんです。

最初ソープに入って講習を受けた時に、「うちのお店の場合は、お客さんに対してタメ語を使ったほうがいいよ」って言われて、最初の1か月ぐらいは頑張って敬語を使わないようにしてたんです。だけど、むしろカタコトみたいな感じになっちゃって、それで「もう自分なりでいいや」って。

あとは、備品にも気を付けています。ボディソープはお肌にいいとか匂いが残らないとか、質のいいものを使いますね。うちのお店は飲み物を紙コップで出すんですが、紙コップの匂いってあるじゃないですか。それが嫌だからプラスチックのコップを自分でそろえてます。「多少気を遣ってますよ」的なアピールはしています (笑) 。

――苦手なお客さんのタイプはありますか?

苦手と言ってはいけないんだろうけど、なかなかしゃべってくれないお客さんは苦手かな。「何を考えてるんだろう」って思ってしまいます。よく「オラオラしていると嫌われる」って言うけど、それでも対応の方法があるじゃないですか。しゃべってくれないお客さんのときは、いろいろと提案したり、「どこが気持ちいい?」って聞いてみたり、ひたすら投げてみてどれか引っかかるものがないか探します。

中には、風俗で遊び慣れてなくて緊張してるっていう場合もあるだろうし、遊び方を知らないっていうのもあるかもしれませんね。そういうお客さんには、浅く広くいろんなパターンを知ってもらいます。私が「このお客さん無理だな」と思ってしまうときは、おそらくお客さんもたぶん同じことを感じていると思います。

――今賀はるさんが考える、理想の風俗とは?

風俗という業界もエンターテイメントのひとつ。最終的にはお客さんに満足して帰ってもらうことが目標だから、それに向けて働く側が努力をすべきだし、変に後ろめたさをもつ必要はないと思う。ジャンルごとに使う技は違うけど、すべてに共通しているのは、「風俗は、普段吐き出せないものを吐き出しに来る所」。奥さんにも言えない、会社でも言えない、同僚とかにも言えないような部分を見せに来るところなんです。

すごく威張ってそうな人がニャンニャンすることもあるし、だれにも見せられないお客さんの姿を開放させてスッキリさせて帰ってもらう場所。お客さんが満足してくれるなら、射精が目標ではないのかなと思います。
ただただ「射精したけど寂しい」って思われるよりは、「射精しなかったけど楽しかったな」って思ってもらえるほうがうれしいですね。

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あと一般社会においては、ざっくりした言い方になってしまうけど、風俗業界に対する差別や偏見がなくなってほしい。でも、それは数年や数十年でなくなるものではないとも思います。

ずーっと昔からある業界だけど、今に至るまで職業と認めてもらってない部分がある。この業界が必要だとわかってもらうことが先決で、本当に大事なのは、その中の人たちが安心・安全に働けるってことだと思います。

直近の問題としては、性病や犯罪に巻き込まれないような対策、さらにセカンドキャリアに関するものもあります。風俗は、若い間しかできない仕事じゃないけど、実際は若い子が多い業界。スポーツ選手とも似たような面はあるけど、いざ転職をしようと考えたときに、「風俗してます」とは言えない。そこをうまくつないでいける仕組みが必要だと思います。

――風俗と社会をつなぐ解決策としてどんな方法があると思いますか?

これは知人が話していて、私もなるほどと思ったのですが、「女の子たちが社会に出るためのワンクッションがあればいいんじゃないか」と思います。

例えばメンズエステのお店だったら風俗にならないので、周囲に言えるわけですよ。それをきっかけにまったく別の業界に行くことができるだろうし、そこで事務的な仕事ができるようになれば、ほかの業界に行っても「事務をしてましたよ」って言えるかもしれない。あるいは起業してしまうっていうのもアリかもしれません。

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――最後に読者の皆さんにメッセージをお願いします。

世間からの差別の目というのは気になるかもしれないけど、変に周りの人たちの言葉に左右されず、自分が思うようにやっていってほしい。ある程度はアドバイスとして聞き入れても、「自分は絶対に変えられない」という軸をもって頑張ってもらいたいです。

――信念をもてということですね。

そうです。風俗は、「だれかが何とかしてくれるだろう」という考えでは流されちゃう業界だと思います。個人事業主という扱いだし、人についていけば何とかなる業界ではないんですよね。良く言えば自分で好きなようにできるけど、自分の信念がないといいように使われちゃう業界だと思います。

“ちょっとHなお姉さん” “インテリジェンスな女性” “頑張り屋さんの風俗嬢”。
3つの顔を駆使しながら、今賀はるさんは今日も全力で頑張っている。そんな彼女をこれからも応援していきたいと思っている。

風俗業界への差別や偏見をなくしたい。“風俗嬢“今賀はるさんが理想とするのは、安心・安全に働ける未来

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サポータープロフィール

吉岡優一郎

作家

吉岡優一郎

1964年2月23日、大阪府布施市(現東大阪市)生まれ。現在は、岡山県井原市在住。ノンフィクション作家・ライターのほか、ウェブコーディネーターの顔をもつ。著書に『風俗嬢のホンネ』『もっと風俗嬢のホンネ』『風俗嬢たちのリアル』『ベテラン風俗ライターが明かすフーゾク情報のぶっちゃけ話』『ワケありな風俗嬢たち』(いずれも彩図社)がある。また、風俗関係者のインタビューを精力的に行い、その模様をインターネットラジオ番組『フーゾクリンクラジオ』で配信している。

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