風俗業界の現在・過去・未来|中山美里×みっけStoryディレクターさいとう

中山美里、さいとう

他の業界では当たり前のことができていないのが風俗業界。
そのうちのひとつが情報発信。『みっけStory』はキャストさんが不安なく、楽しく働けるようなメディアを目指しています。

そこで今回は、風俗だけでなくアダルト全般に詳しい中山美里さんに、風俗業界の課題、過去・未来などについて、語っていただきました。

インタビューアーはみっけStoryのメディアディレクター“さいとう”。
中山さんの著書を読んですっかりファンになってしまい、自ら取材をしたいと名乗り出ました(笑)。

>>前回記事「援助交際をしていた少女が、風俗・アダルト業界の人気作家になるまで

援助交際をしていた少女が、風俗・アダルト業界の人気作家になるまで|中山美里

風俗は立派な職種。それを認めない国がダメ

中山美里

さいとう
――中山さんは長年風俗業界をメディア側という視点で見てきたわけですが、今の風俗業界についてどう感じますか?
中山美里
ひとことで言うと「元気がない時代」。以前は全国的に“フードル(風俗アイドル)”と呼ばれる有名な子がメディアにたくさん出てたんですよね。今の露出って写メ日記がメインだと思うんですが、これは個人の売り上げのため。昔は大手広告代理店が仕掛けてTVに露出させたり、クラブを貸切りコンテストなんかも頻繁に行われていましたね。
さいとう
――そうだったんですね。今メディアで取り上げられるのは、だいたい問題を吊るし上げたりするようなマイナスの話題ばかりですが。
中山美里
メディアで取り上げていないだけで、風俗で働く女性は実際に元気ですよ!
さいとう
――とはいえ、業界で、健全な職業として働くには障壁があるのは確かですよね。
中山美里
そう。まず、奨学金のシステムがよくないですね。
みんな真面目に学校に行きたいだけなのに、必死に風俗で働いて返済しなければならないっていう状況。
そもそも国が風俗をきちんとした仕事として認めていないっていうのが問題なんですよ。全て「グレーゾーン」。女の子を雇用できないから業務委託という立場にしたり、社会保険にも入れてあげられず満足な福利厚生も与えられない。
それで脱税だって摘発して喜んでるけど、国ってバカなの?(笑)
さいとう
――東京オリンピック開催を控え、風俗街の「浄化作戦」も気になりますが。
中山美里
一掃されてしまったら、今までそこで働いていた人の行き場はどうなるのか。闇に潜るしかなくなるわけですよ。ますます悪循環。

日本に来る観光客の中には風俗を目的に来る人も多いんです。であれば、排除するのではなく、安全に遊べる場所をつくるほうがよっぽどいいですよ。日本の「お・も・て・な・し」を見せてあげたいですよね。

昔はたしかに一部では、女の子を使い捨てのような扱いをしていたこともありました。でも、今は長い子だと10年、20年と専門性を高めながらしっかりと活躍できる時代になりました。
長崎では町に風俗の組合ができていて(長崎風俗優良店組合)、働く上でも利用する上でも安心な仕組みになっています。こうした取り組みがもっと全国的に広がるといいんですけどね。

おじいちゃんにしたら、50代なんてピチピチギャル

中山美里

さいとう
――今、世間で言われている『40歳の壁』についてどうお考えですか?
中山美里
壁なんてないない!(笑)今、私は知り合いの風俗店オーナーから話がきて、一緒にお店の立ち上げに協力しているんですが、むしろ40代がメインのお店です。40代は働き盛りですよ!
さいとう
――実際に熟女以上というか高齢の風俗嬢って、需要は多いんでしょうか?
中山美里
多い、ではなく「確かに、きちんとある」という言い方が正しいでしょうか。社会で地位を築いてきたゆとりある男性。私が知る限り94歳まで風俗を利用しています(笑)。
この年齢の男性からしたら40代なんて孫ですよ。50代だってピチピチのギャル(笑)。長生きしたい男性はバンバン女性と楽しんで、お金を使ってほしいですね。
さいとう
――ある程度の年齢を重ねても、変わらず社会で必要とされるって嬉しいですよね。
中山美里
65歳を過ぎると本当に職がないんです。よほどの資格、経験がなければ、それなりの収入を得るような仕事にはまず就けない。経験があっても短時間のレジ打ちですら不採用という女性の声をよく聞きます。

それが風俗なら、高齢であっても、容姿が優れていなくても受け入れてくれるだけでなく、レジ打ちのパートよりも断然高収入を得ることができるんですよね。旦那さんの収入が低いとか、リストラされたとかでむしろ家計を支えてるのが奥さんだったりするケースも多いんですよ。もうこれをひとつの職業として認めないっておかしな話です。

中山美里の書籍

さいとう
――高収入の業界ですが、特に「稼げる」キャストに共通していることって何でしょう?
中山美里
うーん、難しい質問ですね。時代により業界の流行も変わるんで。
ただ「まじめ」「素直」「明るい」は、どの時代でも変わらない根幹ですね。
それにプラスして「その子の個性」が入ってくる、っていう感じかな。

以前、粘膜接触は無理! という理由でM性感で働いていた子を取材したんですね。
もうまったくやる気がなくて。時間にルーズだし、言うこともマイナス発言ばかり。こんな怠け者いるのかっていうくらいの子(笑)。

それが次に会ったらヘルスに行ってたんですよ。で、次は「半端なことはやめた」と、ソープへ。接客も変わり人気も出て、ランキングあげることに夢中になっていました。もうびっくり。メールの書き方もしっかりしていたし、見た目も洗練されてて。お金に余裕があるといろんなことに余裕ができるし、挑戦したくなるんでしょうね。

風俗に対する偏見、誤解を払拭したい

中山美里

さいとう
――今後の業界がどう変わっていけばいいと思いますか?
中山美里
まず少しずつ「健全化」してきましたよね。以前は業界の人って同業者での付き合いしかなかったんですよね。ただ、まだまだ足りない。
不動産会社が風俗嬢になんで家を貸さないのかを考えたとき、地元の人たちと業界の人の関わりがないからだって思ったんです。

地元や警察に密着して、例えば防犯パトロールを手伝うとか。地域連携を図っていくことでイメージをもっと変えていったほうがいい。
絶対風俗に対する偏見というか、誤解があるはずなんですよね。

風俗店って実は脱税に気を使ってしっかり学んでいるところが増えているし、電話対応なんかもしっかりしてますよ。でもやはりイメージが染み付いてしまっていて。

もちろん大きなところでは政治家、マスコミも現場のことを知らなすぎる。知らないから判断できないんですよね。お店側と地域の連携、そして、実態を知る私たちがもっとメディアに本当のことを伝えていかなくてはならないと思っています。

中山美里

さいとう
――中山さんの著書『高齢者風俗嬢』では60代、70代の方の取材をされていますが、実際にどんな印象でしたか?
中山美里
こんなにイキイキと働く人生の先輩が見れて幸せ!(笑)
取材したうちのひとり、64歳の鶯谷のデリヘルで働いている女性がいるんですが、多いときは月収90万だとおっしゃっていました。とにかく圧倒的な明るさ。男性の64歳なんてしょぼくれたおじさんも多いのに、女性の持つパワーって本当にすごい。

何度も繰り返しになってしまいますが、風俗は立派な専門職。女性であることを活かし「買っていただいた時間をいかに喜んでいただけるか」を真剣に考えているんですよね。

この先、年齢に負けず長く働ける仕事であるということを、実証していきたいですね。

風俗業界の現在・過去・未来|中山美里×みっけStoryディレクターさいとう

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