自分を否定しないで。あるがままの自分でもいいんだから。

自分を否定しないで。あるがままの自分でもいいんだから。
せりなさん
世莉奈(せりな)さん
セクキャバなどの水商売の仕事を経験した後、メンズエステの店に入店する。「身体と心をほぐす 性感セラピスト」として、7年間で5,000人以上の男性の身体と心をほぐしてきた。現在、現役嬢として、スキルアップのため勉強会や交流会へ積極的に参加。それと同時に、日本FJS協会会員として、風俗で働く女性が孤独や悩みを分かち合う「花魁女子会in関西」を開催している。

オール3――。通信簿で言うと、そんな感じだ。容姿も普通で、キャラクターも取り立てて言うほどのことはない。アイドルグループで例えるのなら、センターの周りにいる側近。

だけど自己否定ではなく、長い経験を経てたどり着いた境地であり、そうした自分に誇りも持っている。特別でなくてもいい。それでもナンバー1になれるから。

そのように「姫路メンズエステ」に在籍する世莉奈(以下:せりな)さんは話す。そして、「もともと自分自身の存在に価値を見出せなかったんです」と切り出すと、今日に至るまでのストーリーを語ってくれた。

自分自身の価値を確かめたくて、風俗の世界へ

「ちゃんとしてないと親から愛されないとか、がんばらないと彼氏や友達からも愛されない。風俗で働く前、そういう心の問題を抱えていました。だけど一方で、やっぱり自分に価値は欲しいし、人からも見てもらいたいという気持ちもすごく強くあったりして。それで男性相手の夜の仕事なら、お金で自分の価値を測れると思ったんです」

こうして彼女は、飲み屋やセクキャバなど、いわゆる水商売の世界に飛び込む。そこは思った通り、自分の価値を確かめられる場所だった。

ただ、ある程度の稼ぎも得たものの、すべてが順風満帆だったわけではない。大切な人とのすれ違いなど、たくさんの紆余曲折を経て、現在の仕事にたどり着く。

「たまたま知り合いの方から、いまの店を紹介されたんです。男性相手の仕事をしていたので、自分がどういうタイプに受けるか分かっていましたし、マンツーマンの接客の方が得意だったので、「これは絶対にいける!」と思って始めました。当時、不安はまったくなかったですね」

その彼女の手応えは的中し、順調なスタートを切った。「辞めたい」と思ったことは、ほとんどないほどである。そして現在まで、7年間勤めているという。

あるがままの自分を受け入れて、解き放つまで

あるがままの自分を受け入れて、解き放つまで

彼女の特徴の一つが、たくさんのリピーターがいるという点だ。リピーターが多くなると、必然的に指名料も増えて、心にゆとりが生まれる。しかし、リピート客がもたらすメリットは、それだけではない。

「特に長い付き合いのリピーターさんになると、ほとんど素で接していて、お互いにすごく楽ですね。何か変なことも言われないですし。それが良い循環になって、新規の方も捕まえやすくなりました。ただ、しがみつくと大切にするというのは、まったく異なります。

もしリピーターさんにしがみついたら「最近来てないな、どうしてだろう」となって、逆に足元を見られてしまうことになるかもしれません。こちらの要望ばかり伝えるのではなく、上手にバランスをとって、頼りにするスタンスが重要なのではないでしょうか」

今でこそ、達観した境地にいる彼女だが、それは決して当たり前ではない。さまざまな悩みやスランプを経験してきたのだから。特に、昨年訪れたスランプは強烈だったという。

「いま振り返ってみると、慣れてくるに連れて、やっぱりお客さんをお金として見る部分もあったかもしれません。ちょうどそのころ、指名離れとか新しい人に付いてもリピーターになってくれない事態におちいったんです。自分に自信がなくなりましたね。変な焦りも出てきたりしましたし。

そうなると、すべてが悪循環です。世間から見るとこの仕事ってあんまりイメージが良くないですよね。「もう辞めよう」と考えたりして、どんどんと卑屈になっていきました」

まさに“どん底”だった。しかし同時に、彼女に救いの手を差し伸べるものも現れる。それがセミナーであった。

セミナーに参加して、新しい自分に出会う

セミナーに参加して、新しい自分に出会う

スランプにおちいった時、彼女は吉原のソープランドで伝説的な存在になった「愛花」さんが主宰するステップアップ教室に参加した。その時、彼女は思ったそうだ。こんなに仕事に誇りを持って、キラキラ輝いている女性がいるんだ、と。

「もう一人、あや乃さんのセミナーが刺激的でした。すごく楽な女子会みたいな感じで。みんなが自由に話していて、私も知らない人たちの中で、はじめて本音で話せました。そこからかもしれませんね。しっかりとモチベーションが保てるようになったのは。今では、交流会というのは仕事をする上で欠かせなくなりました」

この仕事を好きと言っていい。そう思うと、何かがガラッと変わった。自分自身を認められて、嫌なことがあっても前向きに捉えられるようになったのだ。すると、すべてが良いサイクルで回り始めた。現在、どん欲な姿勢を取り戻し、日々アンテナを張って、新しいものを吸収しているという。

「もともとマッサージは受けるのが好きだったんです。だから自分でいろんなマッサージ店に行って、気持ちいいと思ったものは、どんどんと取り入れました。また、楽しませるという点でも、男の子の働くメンズスナックみたいな場所でサービスを受けて「これいいな!」と思うものは、自分の接客に応用しています。

会話やメールのやり取りなど、1つ1つ判断して、良いと感じたら取り入れていくという感じですかね」

自分はオール3だと話すせりなさん。しかし、いろいろな苦悩を乗り越えて、ナンバー1にも登りつめた。そんな彼女だからこそ、つむぎだされるアドバイスも等身大で、リアリティがある。

「どうか風俗の仕事をしている自分を嫌いにはならないでください。悩みながら、がんばっていることを否定しないといけない理由などありません。だからこそ、人には言いづらい仕事かもしれませんが、一人で抱え込まないことが大切です。ちゃんと言える場所はありますし、しっかりと誰かとつながっているし、決して一人ではありません。

分からないとか困ったと思ったら、何かアクションを起こす。誰かに聞いてみるのも良いし、ブログとか検索してみるのも良いし、興味を持ったらセミナーなどに参加してみるのもいいでしょう。

また「嫌なことは嫌」と、自分の感情も大事にしてほしいと思います。そういう気持ちを大切にするからこそ、それに合ったお客さんも来てくれますから」

現在、彼女には夢がある。拠点である関西で、みんなが気さくに話して、仕事の悩みを打ち明け合ったりするシェア型のセミナーを主催したいのだという。ただ彼女自身が表に出なくてもいいそうだ。そんな彼女の言動は、控えめだからこそ力強い。

自分を否定しないで。あるがままの自分でもいいんだから。

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