プロフィール
上田
神奈川県出身。生活費のために32歳のときに未経験からキャストとして風俗業界で働き始める。40歳を機に同店へ入店し、3年前からスタッフに転身。人気嬢の経験を活かした接客アドバイスで、在籍キャストから頼られている。休日はお酒を飲みに行くことと、行きつけのマッサージ店でリフレッシュすること。
このインタビューのポイント！
- 元キャストだから分かる、お客様の求めること
- スレンダー体型の女性なら採用率は90％以上！
- 風俗の仕事で得た「人を思いやる心」
『ミセスロード』は、30歳以上の女性が活躍する人妻系デリヘル店。元キャスト経験のある女性スタッフが、メイク、接客術といったトータルプロデュースを手掛けてくれるので、見た目に自信がない女性でも安心して稼げるようサポートしてくれるという。
今回お話を伺った女性スタッフの上田さんは、同店で人気キャストとして活躍していたうちのひとり。店舗スタッフに転身してからは、いかに人気を伸ばしていったのか実体験を踏まえた的確なアドバイスを行えるため、在籍キャストからの信頼が厚い。キャストのケア・育成とどのように向き合っているのか、その仕事ぶりを詳しく尋ねた。
元キャストだから分かる、お客様の求めること
――上田さんは、もともとこちらのお店でキャストさんとして働かれていたそうですね。
はい。シングルマザーとして生活費をまかなうため、32歳のときに風俗を始めました。当時は20代も在籍するデリヘル店にいて、本指名が増え続け、いわゆる人気嬢と呼ばれたこともあります。そこである程度貯えができて退店し、40歳のときに再びキャストとしてこちらのお店で入店しました。
――未経験から始めて、年齢もハンデにせずに人気嬢になるとはすごいですね。再び風俗を始めたのはなぜですか？
子供が「大学へ進学したい」と言い出したんです。貯金はありましたが、将来のことを考えるともう少し蓄えを増やしておきたいなと。ただ、ブランクがあるうえに40歳でも働けるのか不安はありました。
――それで、30歳以上が働けるこちらのお店へ？
そうですね。30歳以上から採用しているお店なら若い子と比べられることもないだろうと思い、安心して面接に来ることができました。実際入店してからも、お客様はみなさん紳士的な方で年齢の壁はなかったですね。43歳になったとき、今後のキャリアを考え出したときにタイミングよくスタッフ募集の話を耳にし、迷わずスタッフへ転身しました。
――ここのお店で、スタッフとしても働きたいと思われたのはなぜですか？
お店は大好きだったのですが、たびたび「ここを改善したらいいのに」と思うことがあったんです。例えば、玄関先でスリッパが脱ぎ散らかしたままだったり、トイレの電気が点けっぱなしだったり。そんなところを気にするなんて、口うるさいおばさんみたいですけど(笑)
でも、そういう日常の細かなクセは接客時に出るんですよ。お客様はプレイよりも人間性を気に入って、また会いに来てくれるものなので。
――さすが元人気嬢になった経験があると、他のキャストさんの細やかなところにも気が付かれたんですね。
実はどうすれば人気が出るのかなんて簡単なんです(笑)。それを教えてあげたいなって。
それと、体の不調などは男性スタッフには言いづらい経験があったので、女性スタッフの必要性を感じていました。
――稼ぐのは簡単とのことですが、気遣い以外には何を大切にしたらいいのでしょう？
お客様は女性との会話を楽しんだり、癒しを求めにいらっしゃるんです。特にここは、「30歳以上、大人の女性の癒し」をコンセプトにしていますから、若い年代の女性が持っていない落ち着いた雰囲気が大切です。相手を包み込む包容力や、気遣える心で接客ができれば、自然と本指名が増えて稼げるようになります。
――なるほど。具体的にはどんなことから始めたらいいですか？
まずは笑顔でのあいさつでしょうね。それから相手に合わせてのプレイ、お客様が責め好きなのか、受け身が好きかは把握しておかないといけませんね。会話する際は目を見て相槌を打ち、スキンシップも忘れないこと。お客様から頂いた時間は恋人としてふるまえばいいんです。
スレンダー体型の女性なら採用率は90％以上！
――お客様用の営業サイトには、体重50kg未満の女性が在籍されているとありました。採用の際は、体重制限が？
お客様に分かりやすいように50kg未満と表記していますが、服を着た状態で見た目がスレンダーな方でしたら大丈夫ですよ。採用率は90％近いですし、実際に面接に来た方の体重を量るわけではありませんから(笑)
――それを聞いて安心しました（笑）。応募年齢は30歳以上だそうですが、風俗経験者が多いのでしょうか？
在籍キャストの8割は経験者ですが、未経験から始めた方もいらっしゃいますよ。講習はありませんが、未経験者で不安な場合は、私がお風呂への誘導の仕方から、素股のやり方までお教えします。あとは、お店の営業開始時間が18時からのため、ほとんどの方が兼業されていて、昼職を終えてから出勤されるOLさんが多いです。
――兼業だと、皆さんどのくらいのペースで出勤されているのですか？
1日平均7時間の出勤で、週に2～3回の方が多いですね。昼職に支障が出ないよう、休日や空いている時間を活用されています。一番稼ぐ人は月70万円以上くらいですが、平均だと月20～30万円で、みなさん副業に見合ったペースで希望の目標金額に向けて稼がれていますね。
――希望金額に沿ったアドバイスもしていただけるのでしょうか？
はい。毎月、出勤時間や本指名数などを記載した給料明細をお渡しして、どうすれば稼げるかを一緒に考えています。この仕事は日払いなので、一日の報酬に一喜一憂しがちですよね。でも、そうすると日によってメンタルが傷つき、思ったように稼げなくなってしまうんです。そうならないよう、お給料は月単位の収入で考えるように伝えています。
――お客様が指名する際、かなり細かく女性のタイプをヒアリングされているそうですが、どのような内容なのですか？
お客様のお好みに沿えるよう細かく女性のタイプを伺い、ぴったりな女性を派遣しています。基本は細身の在籍キャストですが、その中でも長身や小柄、巨乳や貧乳といったスタイル、責めや受けといったプレイ内容のご要望があります。そのため初めてご利用するお客様には、「女性と対面してからプレイ時間を決めてくださってもかまいません」とご案内します。
――え！？ お客様が女性と会ってから、プレイ時間を決めるのですか？
そうなんですよ。なかなかそういうお店はないですよね。細かく聞いた以上、お客様のご希望に添う女性を伺わせる自信はあります。でも、会ったうえで納得してお時間を決めていただけたら、お店に対するさらなる信用に繋がりますので。女性も長い時間のほうが稼げますし、気合いを入れて出掛けて行かれますね。
風俗の仕事で得た「人を思いやる心」
――上田さんは、どんな時にスタッフとしてやりがいを感じますか？
私のアドバイスで接客がうまくいくと、キャストさんに「上田さんの言った通りでした。ありがとうございます！」と言われるんです。その時は本当に嬉しくて、キャストさんの力になれたことを実感しますし、自分が本指名を取った気分にもなります（笑）
――ガッツポーズの上田さんが目に浮かびます(笑)。どんなアドバイスをされるのでしょう
キャストさんは多くの方に会うので、お客様についてのすべてを覚えてはいられません。スタッフ側から顧客情報をもとに、以前に接客したことや、お客様の趣味、好きなプレイなどを、簡単に伝えるようにしています。
――そのひと言で接客がスムーズになるわけですね。他に行っていることはありますか？
実は私が美容師免許を所持していて、入店直後にヘアメイクのアドバイスをお伝えしています。待機所にはコテやアイロン、メイク道具一式が揃っているので、第一印象で損をしないようにお客様の好む姿に変身させますよ。洋服もカジュアルすぎない服装の提案をしますね。ジャケットを1枚羽織れば、きちんとした印象を残せますから。
――自分磨きが苦手な女性も、実践的なアドバイスで教えてもらえると安心ですね
私自身、お金に困ってこの仕事に就きましたから、早く稼いで目標額を達成してほしいなといつも思っています。お金に余裕がないと、入店間近から見た目にはこだわれないですし、周囲から指摘されることもないですからね。金銭的にゆとりが持てれば心にも余裕が生まれ、それがいい接客にもつながるんです。
――確かに余裕がない状態では、周囲に気遣いできないですものね。
風俗の仕事って、どうしてもマイナスのイメージから入ることが多いと思います。でも、お金を稼ぐこと以外にも学べることがあります。それをたくさん吸収してプラスに変えていってほしい。今の自分を変えたいと思っている人には、少しの勇気と強さを持てば、自分の人生を変えられることを知ってほしいですね。
――上田さんも人生が変わったと思われますか？
はい、自分の中で人としての成長も感じています。以前は自分さえよければそれでいいと思う性格でしたので……。こんなふうに人を思いやる心を持てたのは、風俗の仕事に携わったからです。この仕事に就いて、お金の問題も解決し、毎日を楽しく過ごせていますので本当に良かったと思います。
――「変わりたい」と願っている女性に今の言葉は響くと思います。最後になりますが、上田さんの今後の目標を教えてください。
お客様から「女性の質がいいから安心できる」と言われると、自分が認めてもらえたようで嬉しくなります。今後もその声に応え続けたいですね。
そのためには、キャストのケアが大切です。私が風俗嬢のときも、年齢が上がるにつれて不安になるときがありました。でも、うちのお店では大人の女性しかいません。私が経験したことを伝えますので、ノウハウを吸収して目標額に向かって稼いでほしいです！
- 取材・文＝志賀真琴
- 撮影＝伊藤メイ子
