プロフィール
S
1973年、宮城県出身。吉原ソープ歴17年。2014年に現オーナーと共同経営というかたちで『スウィートキッス』を開業。2017年5月には姉妹店『プレシャス』をリニューアルオープン。座右の銘は、大器晩成。吉原ソープのボーイとして12年間過ごした末、お店の代表に。将来の夢は、スタッフみんなに自分のお店を持たせてあげること。
このインタビューのポイント!
- 吉原ソープで働き続けたことで離婚。しかし、今ではお店の代表に
- お客さんを大事にするから、女の子のことを正直に説明する
- 接客がしっかりできれば40代でも採用。タトゥーや刺青があっても不採用にはしない
インタビュー中にS代表の携帯電話に何度も連絡が入る。あるときは、メッセージを送り、あるときは、その場で電話。また、あるときは、なじみのお客様のお帰りなのか、駅まで送りに出て行ってしまった。
お店には、ほかに3人のスタッフが勤務していたのだが、S代表は偉ぶらず、周りを気遣い、人一倍汗をかいていた。
吉原ソープで働き続けたことで離婚。しかし、今ではお店の代表に
――風俗業界に入ったきっかけは?
男性だから女性に興味があったっていうのと、一般の仕事よりも収入が多いからですね。当時は、借金があったんで。それ以前は、建築関係の仕事をしていました。
――初めての風俗業界が吉原ソープだったんですか?
はい。吉原歴は、17年くらい。いくつかのお店を移りながら、おおよそ12年間ボーイをしてました。それから、とあるソープ店を2年くらい共同経営してたんだけど、当時の社長ともめて裁判沙汰になりまして。
それで行くところがなくなったんですけど、今のオーナーから「お店をやってみないか」って誘ってもらったんですね。それで始めたのが、この『スウィートキッス』。自分も出資して共同経営ではあるんですけど、やらせてもらってるっていう感じなんですよ。
――吉原ソープで働くようになって、風俗業界に対するイメージは変わりましたか?
何も知らずに業界入りしたんですけど、想像以上にやりがいがあるなと思いました。暗い感じはないですし、怖い人が多いのかなって思いましたけど、変な業界の人は吉原には来ないですね。
――ソープ店のボーイとして働くことは苦労が多いと聞きますが。
長時間労働ですけど、苦ではなかったですね。最初は、お風呂掃除とかですが、嫌になるようなことをしてるわけでもない。僕らが動けば、女の子が働きやすくなるわけだし、頑張れば、驚くほど収入が得られますから、やり甲斐がありますよね。
――ご家族は、今のお仕事をご存知ですか?
親には言ってません。結婚は、してました。離婚してしまったんですけど、相手は同じ業界の子で、僕がこの業界で働き続けることが嫌だったみたい。だから、この業界から離れて、一般の仕事にチャレンジしたこともあったんです。でも、なかなかうまくいかなかったり、収入が途絶えたりした時期があって、それで気持ちが離れていったのかなと思います。
お客さんを大事にするから、女の子のことを正直に説明する
広告に頼るのではなく、お客さんの信用を大事にしてます。できるだけ、お客さん目線で対応することですね。新規のお客さんに、指名の入らない女の子を勧めたら再来店はないと思うんですよ。だから、暇な子を紹介することはしません。人気の子を付けて、気に入ってもらえるようにしてます。
あとは、お客さんの話をよく聞いて、好みの子をうまく薦めるんです。お客さんは大抵、写真がいい子に気が行くんですよ。でも、写真のイメージだけで選ばれると、予想が外れることがあるんでね(笑)。場合によっては、「見た目はあっちの子がいいかもしれないけど、正直、接客はこっちの子のほうがいいです」って言うこともありますよ。この辺りは、ほかのスタッフにも徹底してます。
接客がしっかりできれば40代でも採用。タトゥーや刺青があっても不採用にはしない
――女性の管理について、気を付けていることがあれば教えてください。
勤怠は、ほんとゆるくて、女の子の自由にさせてますね。女の子から「今日は、もう帰っていい?」「予定にないけど、これからお店出てもいい?」って聞かれれば、どちらも「どうぞ」って返します。
接客さえきちんとしてくれれば、来たい時に来てくれて構いませんし、何も言いません。中には3日も無断欠勤する子とかいますけど、出勤したら予約が埋まる、しっかり働いてくれるなら、干したりせず、ちゃんとお客さんを付けますよ。
――吉原では素行の悪いお客様は少ないと聞きますが、万が一行儀の悪い方やしつこい方が来たらどうしてますか?
そういうケースはほとんどないですね。ただ、まれにお客さんが女の子に錯覚、誤解してしまって粘着系になってしまうときがあるんでね。怪しそうな方が来たら受付でブロックします。女の子からNGなお客様を言ってもらえれば、電話があっても「予約いっぱいです」とか、正直に言ってもらって構わないというお客さんには、「女の子からNGって言われてますので」って断ってます。
――採用基準、重要視するポイントは?
仕事の向き不向きがありますし、面接の時は稼げるかなって心配していた子がたちまち人気者になることもありますので、厳しい採用基準は設けてません。普通でいいんです。極端にぽっちゃり、清潔感がないという方でなければ、ほぼ採用しますよ。
在籍してる子は20代後半が多いですが、40代であっても若く見られるなら大丈夫。タトゥーや刺青があっても不採用にはしないです。
あとは、短期でも構いません。例えば、「目標額の20万円が貯まったんで辞めたいです」と言われても引き止めは一切しません。また、出戻りも大歓迎です。地方から出稼ぎを希望してる方は、メールで写真とサイズ(身長、体重、スリーサイズ)を送ってもらって判断して、面接に来てもらいます。面接交通費を往復で上限1万円まで、または宿泊費を半額負担してます。
――面接に来る女性は、風俗経験者が多いのですか。
意外に風俗未経験の子が多いですね。在籍している女の子も素人っぽい子が多くて、仕事仕事するようなプロっぽい子は少ないです。あとは、吉原暦の長い子が友達から紹介されてきたり、ほかの業種の方もリサーチして来たりすることもありますね。他店で思うように稼げないから、うちの店に来たっていう方が多いですよ。
――『スウィートキッス』の入店を考えている女性にメッセージをお願いします。
風俗の仕事を勧めるのは正直どうかと思いますけど、女の子次第で稼げます。だから、お金に困ってどうしもようないなら、目標と期間を決めて、女の子自身が店を利用するくらいの気持ちで頑張ってもらいたいです。うちのお店は、本当に自由出勤だから気軽に働けますよ。
- 取材・文=みけお